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きそばとそばがきと小麦粉配合そば

 

麺業新聞(2007.7.20)にこんな記事が載っていました。


二八そばは何故小麦粉2割か

・・・現在、憧れのそばといえば、「十割そば」あるいはそば粉八割、小麦粉二割の「二八そば」だ。様々な工夫を重ねたものが商品化されている。

だが、本当にそば粉の比率が多い方がそばはおいしいのだろうか。

「そば切り」が出てきたのは17世紀中頃で、そばの繋ぎに小麦粉を使う製法が出てきてからである。そばをある程度だれでも繋げる小麦粉の量が二割だった。

ここが重要だ。実はこの時代においては、そば粉よりも小麦粉の方が価格が高かった。だから、小麦粉の使用量は最低に抑えて「そば切り」を作るための小麦粉二割の「二八そば」だったという説だ。

そばを主力にしている製麺企業の人の話で興味深いのは、「本当によく売れるそばは、そば粉配合割合六割まで。それ以上そば粉の配合割合が多いそばは、話題性はあるかも知れないが、ベストセラーにはならない」という話である。

「そばがき」ではなく「そば切り」という、めんとしてそばを食べる場合は、食味はもとより、食感もおいしさの非常に重要な要素である。そば粉の割合が非常に多いそばは、食味は別として食感の面で物足りないから、そば粉配合割合六割以下のそばしかベストセラーにならないのではないだろうか。これはもちろん異説≠ナあることを承知のうえのことだが。・・・


この記事を読んでどう思われるでしょうか?そばはそば粉の配合比率が多い方が高級でおいしい?私的には、上記記事の内容に対して、少し「そうかもなぁ」と思える部分があるので、「そば粉の比率が多い方がそばはおいしいのか」ということについて少し考えてみたいと思います。

 

きそばについて

さて、はじめに十割そば(きそば)について考えてみたいと思います。

元々、江戸前期まで「そば」は、そば粉だけでつくる「きそば」のことであり、江戸中期になってから小麦粉を繋ぎに用いるようになりました。

そして、記事中にあるように、「そば粉よりも小麦粉の方が価格が高かった。」とすると、きそばが本当においしいのであれば、わざわざ原価を上げてまで小麦粉を混ぜたそばを作る必要もないのではないか?と思われます。

まして、当時、小麦粉を繋ぎにしてそばをつくっていた店も小麦粉を使っているのを隠して、そば屋は「生蕎麦(きそば)」の看板を掲げていたという話もありますから、小麦粉の方が価格が高かったにもかかわらず、きそばの方がそば屋の“ウリ”になったのは何故なのでしょうか?

それは、やはりこの1点に絞られると思います。「きそばはつくるのが難しいから。」

このように、昔も今も、きそばはつくることの難しさから、希少価値、高級感はあるのだろうと思われます。

きそばをつくる難しさについてはこちらのページにも書いています。そばのつなぎ

 

そばがきについて

「そばがき」は古くから日本中で親しまれ、そばを麺として食べるよりはるか昔から食べられていました。(ソバの実を粉にしなければならず、その道具である石臼が普及したのが江戸時代中期以降なので、ほぼ、麺食としてのそばと同時期に普及したとの説もある。)

作り方も簡単で、そば粉を熱湯で掻いて、醤油やそばつゆにつけて食べるというものです。

 

そばの栄養価、茹でそばとそばがき

ここで、そばの栄養価について考えてみたいと思います。

そばの栄養は米や小麦と同様にでんぷんが主体ですが、他の栄養素も豊富に含まれており、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルとも、米や小麦に比べて含量が多い。

しかし、これらの栄養素は、大半が水に溶けやすく、そばを茹でると、この栄養素が茹で湯の中に溶け出してしまいます。それでも、そば湯を飲めばよいではないかということもありますが、麺は大量のお湯で茹でた方がおいしく茹で上がりますから、その、そば湯を全て飲み干すという訳にもいかず、栄養価の面から、栄養価を損なうことのないそばがきは優れた食べ物であるといえます。

 

きそばは職人のプライドの産物

ここまでの話の中で、きそばに対する問題点がいくつか考えられます。整理してみると。

@江戸時代、原価は小麦粉を混ぜたそばより、安くつくのに、そば屋はきそばを“ウリ”にした。

Aきそばよりそばがきの方が栄養面で優れている。

Bきそばより小麦粉を配合したそばの方が麺としての食感は優れている。(切れにくい、弾力など)

さて、では何故、きそばはそれでも作り続けられているのでしょうか?それはそばをつくることに長けた、職人にしかつくることが難しいからだと思われます。現在でも、食のイベント会場などで手打ちそばの実演をしているところをよく見かけますが、それなどもそばをつくる難しさゆえ、人々の興味を引くのだと考えられます。

しかしもし、きそばより小麦粉を配合したそばの方がおいしいとしたら、ちょっと過激な言い方をすれば、きそばは職人のプライドを満たす自己満足の食べ物ということになりはしないでしょうか?

 

きそばとそばがきと小麦粉配合そば

最後に、初めの記事に書いてあったことを思い出してもらいたいのですが、「本当によく売れるそばは、そば粉配合割合六割まで。それ以上そば粉の配合割合が多いそばは、話題性はあるかも知れないが、ベストセラーにはならない」という話。

これまでの話の中で、そばがきは栄養価に優れ、食べ方も、そば粉を湯で捏ねるだけという簡単さ、当然、そば粉を麺に加工する手間もかかっていないのでも原価も安くつく。

一方、小麦粉を配合したそばは、きそばに比べ食感の麺で勝っている。(実際に店頭にそばが並んでいる場合、ぼそぼそに切れているそばはなかなか売れないんじゃないかと思います。野菜とかだって形の悪い奴は売り物になりませんしね。)

こう考えると、苦労してきそばをつくる価値ってあるんでしょうか?それなら、そばがきを食べれば一番そばの風味も感じられるし、いいんじゃないか?と思えてきます。

いずれにしても、麺を販売しているものの実感として、そばは嗜好の差が激しく、なかなかこの商品がよいとはいえない食べ物ではあると思います。

皆さんは、どんなそばがお好みですか?

きそばとそばがきと小麦粉配合そば2007.7.28


二八そばつくりました。

なか川でも、2010年3月19日、二八そばを製造することになりました。これまでは、4〜5割そばがメインだったのですが、最近、そば店などから、そば粉の高い比率のそばのご要望が増えたことによるものです。

何故、これまで製造していなかったかということを改めて考えてみると、やはり、ひとつには価格の問題がありました。

昔は、小麦粉より蕎麦粉の方が高かったということですが、現在では、反対で、基本的に蕎麦粉の方が高いということがあり、業務用としては、なかなか採算が合わないということがありました。

もうひとつは、「繋がりにくい」という問題です。これを解消するため、今回、つなぎに山の芋と生卵を使用しました。

少し高くても、より蕎麦の風味、旨味の感じられる麺が求められているようです。

そばをお取り扱いのお店の皆様、宜しければ一度、お試しください。詳細はこちら→業務用

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