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そばのルチン

 

そばのポリフェノールのところで、そばの代表的な機能性成分(抗酸化物質)として知られるルチンも、フラボノイドの一種であり、ポリフェノールの仲間に入るということをいいました。そのルチンについてです。

ルチンは植物に含まれる色素成分・フラボノイドの一種で、毛細血管を強化して内出血を防ぐ働きがあります。昔から、そばを食べていると脳溢血になりにくいといわれているように、ルチンは、そばの最も特徴的な機能性成分(抗酸化物質)として知られています。

ルチンが発見されたのは1930年代。皮膚内や粘膜下などに出血を起こす紫斑病(しはんびょう)の治療に有効だったためビタミンPと呼ばれましたが、現在は独立したビタミンとは考えられておらず、ルチンという名称で統一されています。

ルチンの毛細血管強化作用についてのひとつの実験があります。餌にそばを与えたネズミと与えていないネズミに分けて、体毛を剃ります。それぞれの皮膚に真空ポンプを当てて吸引してみたところ、そばを与えなかったネズミの皮膚には、ちょうどキスマークのような跡がついて、皮膚は紫色に変化しました。毛細血管が切れたと考えられます。

ところが、そばを食べさせていたネズミの皮膚はこの跡がほとんどつきませんでした。毛細血管が強化されたことで、内出血しにくくなっていたと考えられます。最近の研究では、血圧や血糖値の降下作用、すい臓機能の活性化作用などがあることも報告されています。

また、ルチンには、ビタミンCと同時に摂取すると、毛細血管の強化作用が一層強められる性質もあるといわれています。したがって、そばを食べるときは、ビタミンCを多く含む野菜や果物を一緒にとると良く、ビタミンなどの栄養素だけでなく、ルチンの効率的な活用にもなると考えられます。

ところで、そばのルチンの含有量は、品種や栽培条件などの違いで変わることが分かっていますが、これにはそばが生長する際の日照量が大きく関係していると考えられています。

たとえば、日照時間の長い時期に栽培された夏そばの方が、秋そばに比べてルチン含量が多い傾向にあります。また、栽培条件では、栽培地の日照量が問題になり、南方のそばの方が北方のそばよりも含量が多い傾向にあるといいます。

ルチンと日照量の関係については、ルチンはそばにとって「日傘」としての役割を担っていると考えると分かりやすいかもしれません。

海水浴などでも、あまり日焼けをすると、皮膚がんの原因にもなるといわれます。これは、太陽光に含まれる紫外線によるものです。また最近は、大気中のオゾン層が破壊されて紫外線量が増えていることが大きな環境問題になっていますが、実は植物にとっても紫外線はよくないのです。

人間だけでなく、動物は本能的に強い太陽光を避けることを知っているといわれますが、植物は紫外線の害を避けるために日陰に移動することは出来ません。そのため植物は、「日傘」に変わるものとして、それぞれ特有の防御物質を作り出し、そばの場合は、ルチンが防御物質になっているわけです。

実際、国内産(北海道産)と外国産の玄ソバでルチン含有量を比較すると、ブラジル産、国内産、カナダ産、中国産の順で含有量が多かったという実験結果もあり、各産地の日照量は、多い順にブラジル、北海道、カナダ、中国となり、日照量とルチン含有量との関係が推察されます。

このようにルチンは、紫外線の害から身を守るための成分なので、太陽光にさらされる殻に近い部分(そばの実の外層部分)に多く含まれているのです。

したがって、一般にそば粉100gにはルチンが15mg程度含まれるとされていますが、そば粉の種類によって含有量が違ってきます。最も多く含まれるのは甘皮(種皮)部分まで引き込む三番粉(表層粉)で、中心部が主体の一番粉(内層粉)が最も少なくなっています。

もちろん、このような粉の取り分けを行わず、そばの実を丸ごと挽いた「挽きぐるみ」の粉にも豊富に含まれています。

尚、以前は、ルチンの多くがそばを茹でている間に茹で湯の中に溶け出てしまうため、そば湯を飲んだほうがよいといわれていましたが、実際には数%程度しか流出しないということも分かっているそうです。

−そばのルチン−


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